産休・育休中の住民税は免除されない | 支払い方法3つと安くなる時期

育休中は社会保険料が免除、給付金は非課税——ここまで知っている人は多いのですが、ひとつだけ、容赦なく請求が来るものがあります。住民税です。

しかも厄介なことに、給与天引き(特別徴収)ができなくなるため、ある日ポストに納付書が届くか、復職後の給与から数ヶ月分がまとめて引かれるという形になります。「復職したのに手取りが想像より全然少ない」という声の正体は、たいていこれです。この記事では、なぜ免除されないのか、どう払うことになるのか、いつ安くなるのかを整理します。

なぜ住民税だけ免除されないのか

住民税は「前年の所得」に対してかかる税金だから
今年働いていなくても、去年働いていれば納税義務がある

住民税は、前年1月〜12月の所得をもとに税額が決まり、その翌年6月から翌々年5月にかけて納めるという仕組みになっています。つまり、いま支払っている住民税は「去年のあなたの働き」に対する請求書です。

だから育休に入って今年の収入がゼロに近くても、去年フルタイムで働いていれば、その分の住民税は普通にかかります。社会保険料のように「休業中は免除」という規定は住民税にはありません。ここが、産休・育休のお金の話で最も見落とされるポイントです。

一方で所得税は心配いりません。所得税はその月の給与に対してかかるため、給与の支払いがなければ発生しません。育児休業給付金や出産手当金も非課税なので、所得税はかからないと考えて差し支えありません。

育休中の負担を一覧で整理

項目育休中の扱い備考
健康保険料免除(要件を満たす場合)保険証はそのまま使える
厚生年金保険料免除(要件を満たす場合)免除期間も年金加入期間として扱われる
雇用保険料給与が出なければ発生しない給与に対してかかるため
所得税給与が出なければ発生しない給付金は非課税
住民税免除なし。支払う必要あり前年所得に対する課税のため

こうして並べると、住民税だけが例外だと分かります。社会保険料免除の詳しい要件は育休中の社会保険料免除にまとめています。

支払い方法3パターン

会社員の住民税は通常、給与から毎月天引きされる特別徴収です。育休で給与の支払いが止まると天引きができなくなるため、次のいずれかの形になります。どれになるかは会社の運用次第なので、休業前の確認が必須です。

方法内容メリット/デメリット
①会社が立て替え休業中は会社が納付し、復職後の給与からまとめて精算する休業中の出費はゼロ。ただし復職後の手取りが数ヶ月間かなり減る
②一括徴収休業に入る前の給与や賞与から、残りの期間分をまとめて差し引く後の負担が残らない。ただし休業直前の手取りが大きく減る
③普通徴収に切替会社が特別徴収を止め、自治体から届く納付書で自分で納める年4回払いなどに分けられる。納付忘れに注意が必要

③の普通徴収になる場合、納付書は自宅に郵送されます。産後のばたばたした時期に届くため、封筒を開けないまま期限を過ぎてしまうケースが実際にあります。延滞金がつくうえ、督促が来るとさらに気力を削られるので、普通徴収になると分かった時点で、納期(自治体により異なりますが、6月・8月・10月・翌1月の年4回が一般的)をカレンダーに入れておくのが確実です。口座振替を申し込んでおけば取りこぼしがありません。

ポイント:金額の目安は、前年の年収のおおよそ4〜6%程度が年間の住民税額になることが多いです。年収400万円なら年間で16〜24万円前後、月あたり1.5〜2万円ほど。育休中の家計に「毎月2万円弱の固定費が乗る」と考えて資金計画を立ててください。正確な額は、直近の給与明細か、6月ごろに配られる住民税決定通知書で確認できます。

安くなるのはいつから?

ここからは良い話です。休業で所得が減れば、その翌年度の住民税は確実に下がります

つまり、負担が重いのは休業1年目、2年目は軽くなるという順番です。育休を2年近く取る場合、後半は住民税がほとんどかからない期間になることもあります。

逆に注意したいのが復職の翌々年です。復職して所得が戻ると、その翌年度から住民税も元の水準に戻ります。「復職2年目に急に手取りが減った」と感じたら、たいていこれが原因です。

復職後にまとめて引かれる仕組み

①の会社立替パターンでは、復職後の給与から「その月の住民税 + 立て替えてもらった分」が引かれます。休業期間が長いほど立替額も膨らむため、復職直後の数ヶ月は手取りがかなり圧縮されます。

ここに、もうひとつ重なる要素があります。社会保険料の免除が終わることです。復職すれば健康保険料・厚生年金保険料の天引きが再開します。住民税の精算と社会保険料の再開が同時に来るため、復職1ヶ月目の手取りは、休業前の水準よりかなり少なくなるのが普通です。

時短勤務で復職する場合はさらに注意が必要です。給与は時短で減るのに、住民税は前年(フルタイムで働いていた年)の所得で計算された額が引かれます。この二重の圧迫で家計が苦しくなるケースは珍しくないので、復職後3ヶ月ぶんくらいの生活費は手元に残しておくと安心です。

育休から復職までの期間は、収入の形が何度も変わります。固定費と保障のバランスを一度整理しておくと、想定外の目減りに慌てずに済みます

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休業前にやっておくこと

  1. 会社に「育休中の住民税はどの扱いになるか」を確認——立替か、一括徴収か、普通徴収か。ここが最初の一歩です
  2. 年間の住民税額を把握する——住民税決定通知書か給与明細で、月額と残りの納付回数を確認します
  3. 普通徴収になるなら口座振替を申し込む——納付忘れの防止に最も効きます
  4. 復職後の手取り減を見込んでおく——立替精算+社会保険料再開+時短で、数ヶ月は想定より少なくなります
  5. ふるさと納税は慎重に——住民税の控除上限はその年の所得で決まるため、休業で所得が減る年に例年どおりの金額を寄付すると、控除しきれず自己負担になります

よくある質問

Q. 育休中も住民税は払うのですか?

A. 払います。社会保険料のような免除制度はありません。住民税は前年の所得に対する課税なので、休業中でも前年に働いた分の税額を納めることになります。

Q. 給与がないとどうやって払いますか?

A. 会社が立て替えて復職後に精算する、休業前の給与や賞与から一括徴収する、普通徴収に切り替えて納付書で自分で納める、の3パターンがあります。会社の運用によるので事前確認が必要です。

Q. いつから安くなりますか?

A. 所得が減った年の翌年6月からです。まるまる1年休業した場合、その翌年度は大きく下がるか非課税になることもあります。

Q. 給付金にも住民税はかかりますか?

A. かかりません。育児休業給付金や出産手当金は非課税で、翌年度の住民税の計算にも含まれません。

Q. 納付書を放置するとどうなりますか?

A. 延滞金が加算され、督促状が届きます。産後は郵便物を見落としやすいため、口座振替の手続きをしておくのが安全です。

まとめ

育休中に免除されないのは住民税だけ。前年所得に対する課税なので、休業していても去年働いた分の請求は来ます。支払い方法は会社立替・一括徴収・普通徴収の3パターンで、どれになるかは会社次第。休業前に必ず確認してください。

負担が重いのは休業1年目で、所得が減った年の翌年6月からは大きく下がります。逆に復職直後は、住民税の精算と社会保険料の再開が重なって手取りが最も細くなる時期です。ここを見込んでおけば、慌てずに済みます。

免除される側の話は育休中の社会保険料免除、給付金の手取り計算は育児休業給付金の手取り計算をどうぞ。