産後パパ育休(出生時育児休業)とは | 通常の育休との違いと分割取得のコツ

「育休を取りたいけれど、そんなに長く休めない」。そう思って諦めかけている人にこそ知ってほしいのが産後パパ育休です。正式名称は出生時育児休業。通常の育児休業とは別枠で、出生後8週間以内に最大4週間まで取れます。

ポイントは「別枠」であること。産後パパ育休を使い切ってから、さらに通常の育休を取ることもできます。しかも2回に分割できるので、産後すぐと里帰りから戻るタイミングの2回に分けるといった使い方が可能です。この記事では、通常の育休との違い、分割の組み立て方、そしてお金がいくら入るかを整理します。

産後パパ育休の基本ルール

産後パパ育休(出生時育児休業)
・対象期間:子の出生後8週間以内
・取得できる日数:通算4週間(28日)まで
・分割:2回まで(まとめて申し出るのが原則)
・申出期限:原則休業開始日の2週間前まで
・通常の育児休業とは別枠で取得できる

名称に「パパ」とついていますが、制度上は産後休業をしていない人が対象です。実際には母親は産後8週間の産後休業に入っているため、結果として父親が使う制度になっています。養子縁組など、母親側がこの制度を使える例外的なケースもあります。

制度の詳細は厚生労働省の育児・介護休業法の特設ページで確認できます。会社の就業規則にも規定されているはずなので、あわせて目を通しておいてください。

通常の育休との違い(比較表)

項目産後パパ育休通常の育児休業
対象期間出生後8週間以内原則1歳まで(延長で最長2歳)
取得日数通算4週間まで期間内であれば上限なし
分割2回まで2回まで
申出期限原則2週間前原則1ヶ月前
休業中の就業労使協定があれば一定範囲で可能原則不可(一時的・臨時的な場合を除く)
給付金出生時育児休業給付金育児休業給付金
社会保険料要件を満たせば免除要件を満たせば免除

最大の違いは「別枠であること」と「就業できること」の2点です。産後パパ育休で4週間取っても、通常の育休の権利は減りません。また通常の育休は原則として働けませんが、産後パパ育休は労使協定があれば一定範囲で就業できます。「完全に離れるのは難しい職場」でも取りやすくするための設計だと考えると分かりやすいでしょう。

分割取得の組み立て方

2回に分けられることで、現実的な組み立てがいくつも作れます。よくあるパターンを挙げます。

パターン組み立て方向いているケース
退院直後 + 里帰り明け出産直後に2週間、里帰りから戻るタイミングで2週間里帰り出産をする家庭。母子が戻ってからの生活立ち上げに人手を残せる
まとめて4週間出生直後から4週間連続新生児期の負担が最も重い時期に集中させたい場合
短期 + 通常育休へ接続産後パパ育休1週間の後、通常の育休へ移行長期で休む前提で、出生直後の手続き対応を確実に押さえたい場合
妻の復職準備に合わせる後半の2週間を保育園の慣らし保育期間に充てるただし出生後8週間以内という制約があるため、通常の育休との併用で組む
注意:分割して取る場合は、最初の申出時に2回分をまとめて申し出るのが原則です。1回目を取ってから「やっぱりもう1回」と後出しすると、会社に応じる義務がない扱いになる場合があります。取るかどうか迷っている段階でも、2回分の枠を確保する形で申し出ておくのが安全です。

休業中に働ける特例

産後パパ育休には、通常の育休にはない「休業中の就業」という仕組みがあります。ただし誰でも自由に働けるわけではなく、次の条件がつきます。

気をつけたいのは働きすぎると給付金に影響する点です。就業日数や支払われた賃金額によっては、出生時育児休業給付金が減額されたり支給されなくなったりします。「少しだけ出社するつもりが、給付金が消えていた」という事態を避けるため、就業を希望する場合は必ず事前に会社の担当部署と、就業日数の上限と給付への影響を確認してください

もらえるお金と手取りの目安

要件を満たすと、雇用保険から出生時育児休業給付金が支給されます。計算の考え方は育児休業給付金と同じで、給付率は休業開始時賃金日額の67%です。

ここで効いてくるのが、通常の給与にはない2つの優遇です。

普段の給与は額面から2割前後が引かれているため、「額面の67%」は手取りベースでは8割前後に相当します。計算の詳細と月給別の早見表は育児休業給付金の手取り計算に、社会保険料免除の要件は育休中の社会保険料免除にまとめています。

さらに2025年4月に創設された出生後休業支援給付金の要件(両親がともに一定期間の育休を取得するなど)を満たせば給付が上乗せされ、実質的に手取り10割相当まで届きます。産後パパ育休は、この制度と組み合わせる前提で設計されている面があるので、夫婦の取得期間をセットで考えるとメリットが最大化します

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申出の手順と期限

  1. 出産予定日が分かったら会社へ相談——就業規則で制度の有無と、休業中の就業に関する労使協定があるかを確認します
  2. 休業開始日の2週間前までに書面等で申し出る——分割する場合は2回分をまとめて申し出ます
  3. 出生後、出生日を会社に届け出る——実際の出生日で期間が確定します
  4. 給付金・社会保険料免除の手続き——原則として会社経由で行われます。必要書類(母子健康手帳の写しなど)を求められることがあります
  5. 入金時期を確認——給付金は休業終了後の申請となるため、入金は休業から一定期間後になります。その間の生活費は手元資金で回す前提で準備してください
ポイント:期限は2週間前ですが、実務上は早ければ早いほど有利です。人員配置の調整が必要な職場ほど、早く伝えたほうが「取りにくい空気」になりにくい。安定期に入った段階で口頭で共有しておくくらいが現実的です。

よくある質問

Q. 産後パパ育休とは何ですか?

A. 出生時育児休業のことで、子の出生後8週間以内に最大4週間まで取得できる、通常の育休とは別枠の休業制度です。2回に分割できます。

Q. 通常の育休と両方取れますか?

A. 取れます。別枠の制度なので、産後パパ育休を4週間使い切ったあとに通常の育児休業を取得することも可能です。

Q. 休業中に働いても大丈夫ですか?

A. 労使協定があり、本人が希望する場合に限り、上限の範囲内で就業できます。ただし就業日数や賃金額によっては給付金が減額・不支給になるため、事前に会社へ確認してください。

Q. いつまでに申し出ればいいですか?

A. 原則として休業開始日の2週間前までです。手続きは会社経由になるため、早めの相談をおすすめします。

Q. お金はいくらもらえますか?

A. 出生時育児休業給付金として、休業開始時賃金日額の67%が支給されます。非課税かつ社会保険料免除のため、手取りベースでは8割前後の水準です。

まとめ

産後パパ育休は、出生後8週間以内に4週間まで、2回に分けて取れる別枠の休業です。通常の育休の権利は減らず、条件つきで働くこともできるため、「長期は無理」という職場でも現実的に取得できる制度として設計されています。

お金の面では、給付率67%+非課税+社会保険料免除で手取り8割前後。2025年4月からの上乗せ給付の要件を満たせば実質10割相当まで届くので、夫婦の取得期間をセットで組み立てるのが最も得になります。

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